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春高バレーが終わり、新学期が始まれば片桐絵梨菜も高校三年生。
大会が終わればごく普通の女子高生…と思っていたのは本人だけだったかもしれない。
新学期になっても爆発的なエリナ人気に翳りはなく、その注目度はまさしくスーパー女子高生。
ファンの男の子たちはエリナの高校の制服姿を撮ろうと通学路をうろつき、駅の階段でエリナのスカートの中を盗撮しようとした大学生が逮捕されてからは、エリナをガードするために最寄りの駅に『エリナ番』の駅員が登場した。
たしかに制服のスカートから伸びるスラリと長い脚(特に膝から下が長く、ふくらはぎは絶妙のカーブを描いた)は、男女を問わず視線を集めて離すことが出来ないほどに魅力的ではあったが。
学校には練習試合の申し込みが殺到し、土日のほとんどは試合に費やされることになったが、エリナは『インターハイ予選へのいい経験になります』と、すべての試合にフル出場した。
マスコミからのインタビューは学校を通すことになっていたが、密かに接触を謀ろうとする媒体も多く、常に顧問の男性教師がエリナの後ろで目を光らせた。
エリナは、そのお礼として手作りのクッションを顧問に贈り、『家宝にするよ』と感激させた。
取材の最後に、いつもなにげに聞かれるのは彼氏の有無だったが、それは笑って否定した。
取材された親友たちも口を揃えて『エリナが今まで男の子と付き合ったことは無いと思います』と証言して、『エリナいまだ処女説』を裏付けてファンを安心させた。
実際、同級生や卒業生、他校のバレー部員から果ては取材に関わったマスコミ関係者まで、有象無象の男たちがエリナに言い寄ったものの、揃って『もう!冗談ばっかし』と、笑顔であしらわれて、すごすごと退散した。
でも、決して彼らは逆恨みしたり、ましてやストーカーになったりすることはなかった。たとえ振られても、エリナからはなにかしら爽やかなものをもらっていたし、彼女の笑顔を間近で見られただけでも充分に満足だったのだ。
『バレーが恋人。今はインターハイ出場しか頭にありません』
インタビューで答えたこのフレーズにウソは無さそうで、エリナはチームメイトたちとともに猛練習に明け暮れる毎日だった。

だが、現実は厳しい。
春高バレーでワンマンチームのもろさをさらけ出した鳩ガ丘高校は、練習試合ですら簡単には勝たせてもらえず、インターハイ東京都予選でも苦戦の連続。
度重なる練習試合や慣れない遠征の影響で、部員たちは大会前に疲れ切っていたのだ。
それでもエリナの踏ん張りで、なんとか準々決勝まで進出した鳩ガ丘高校だったが、ついにそこで力尽き、インターハイ出場の夢はついえた。
奇跡を信じて応援し続けたファンたちは落胆したものの、負けたら負けたで試合後の『泣き虫エリナ』を期待する。だが、敗戦後のエリナは意外や淡々としていて、逆に泣きじゃくるチームメイトたちを慰める側に回った。
中継したテレビ局の解説者は、『やるだけやった満足感。彼女は敗れても悔いは無いのでしょう』と評したが、たしかに戦い終えたエリナは、その澄んだ瞳に涙の膜をうっすらと張りながらも、柔らかな笑みさえたたえて満足気にも見えた。
泣き顔と同じく、笑顔もまたエリナの大きな魅力だった。

こうしてエリナの高校バレーは幕を下ろした…と、思いきや、周りが彼女を放って置かなかった。
やれ東京都選抜だ、親善試合だと休む暇も無く、大学受験の準備すらままならない。
そんな中、九月には日韓高校対抗戦のメンバーにインターハイに出場していないにもかかわらず選ばれ、韓国ソウルへと遠征した。
(つづく)

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2010.11.29 Mon l 泣き虫エリナ l コメント (2) トラックバック (0) l top