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「おいおい。『ください』はもうよせよ。それにしてもお前、感じまくりだったなあ」
リナに笑われて、私は消え入りたいぐらい恥ずかしかったけれど、でもなぜか満足もしていた。
「どう?よかっただろ?」
「…うん」
私は、甘えてリナの薄い胸に顔を押しつける。
「でも女同士の気持ち良さなんて、男のちんぽの一突きで、すっ飛んだりするんだけどな」
やがてリナが、私の横に寝転んだまま、タバコをくわえた。

タバコを吸うリナの横顔は、間接照明に照らされて、何やら神秘的で妖精みたいだ。ラブホの精。
「ねえ、リナはどうしてそんな危ないことをしているの?リナのルックスだったら、モデルさんでも、アイドルにでもなれたでしょ?」
実際、テレビで見掛ける素人臭いアイドルなんて、ルックスに関して言えば、リナの足元にも及ばないだろう。
リナは、タバコの煙りを吐き出しながら、クックッと笑った。
「あたしが売春で初めて補導されたのが14の時。まあ、その前にも万引きで何度か上げられてるけどな」
リナがまるで人ごとのように話し始めた。
「高校を三日で辞めて、15でヤクザの情婦。16でクスリで逮捕されて鑑別所送り。さて、どこのプロダクションが私みたいな女を売り出すでしょう?」
リナが、おどけた顔をしたけど、私は黙っていた。
「お前の男、韓国人だって言ってたろ?私も同じ。もっとも在日韓国人だけどな。違いがわかるか?」
「…なんとなく」
「在日4世ってことになるらしい。在日には、とんでもない金持ちがいる反面、とんでもない貧乏人も多い。もちろんうちは貧しい方だったから、万引きも売春も、母ちゃんや姉ちゃんを見て自然に覚えた。動物が親の真似をして餌を捕るのと同じさ。体を売ってた頃、客に売春は朝鮮女の天職って言われたことがある。アハハ…」
淡々と語るリナに、私は口を挟むことも出来ず、ただ聞いていた。
「子供の頃から、日本人にはよくいじめられたなあ。朝鮮人は下品で不潔で、喧嘩っぱやく手癖が悪くて、将来は男ならヤクザ、女なら風俗に行くしかないって。でも、それ全部当たってるんだよね。あたしの在日仲間は、みんなヤクザか風俗嬢になったもん」
リナが再び可笑しそうに笑った。
「知ってるか?日本のヤクザの9割が同和か在日らしいぞ。やっぱ才能があるんだろうね。アハハ…」
どうしてそんなことで笑えるのか、不思議でならなかった。想像もつかないような、リナのとんでもない身の上話を聞きながら、私はリナのさくらんぼのような乳首をぼんやりと見つめていた。
「鑑別所でもよくいじめられたよ…あたし、細っちいからケンカ弱いだろ。だからこれで強い女に取り入ったんだ」
リナはそう言って、裸の私の乳房を優しく揉んだけれど、今度は気持ち良さはやってこなかった。
「で、今は仲間とハンパなクスリの売人。クスリ売りの少女だ。でもカスリのほとんどを組に持って行かれるから苦しくってね。まあ、商売モンを自分で使ってちゃ、儲けもクソもないけどな。で、イチかバチかの勝負に出たってワケ。金が入ったらナオにもお礼するよ」
「お礼なんかいらないけど…」
私はなんか、イヤな予感がした。私から見ても、悪の組織を相手にして、リナたちの杜撰な計画がうまく運ぶとはとても思えなかったから。
「金が入ったら、仲間とお店をやるんだ。ユンは焼肉屋とか言うけど、在日が焼肉屋なんてありふれ過ぎだろ。だから私はイタリアンレストランをやろうって言ってるんだ。イタリア語でリステランテさ」
そう言ってリナは嬉しそうに笑った。
「もっとも、うちら麺類って言ったら、さっきみたいな不味い焼そばぐらいしか、食ったこと無いんだけどね。いい加減なもんだ」
そして、リナはまた笑った。気持ちが高揚しているのは、薬の影響があるのかもしれない。
「リナ…リステランテ出来るといいね」
リナが少女のような笑顔でうなづいた。
「うん。金持ちになりたいよ。金持ちになって、みんなを見返してやる」
「…」
「実は、あたしら、もう日本人に仕返ししてるのかもしれないな」
リナが、不思議な事を言い出した。
(つづく)

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2011.08.31 Wed l 奈緒の冒険・なにわアクション編 l コメント (2) l top