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「信州って意外と暑いんですね?」
「そうねえ。標高が高い分、紫外線が強いから、日向は暑く感じるかもね。その代わり日陰に入れば涼しいし、特に朝晩は気持ちいいわよ」
「わ~、楽しみ~!東京じゃ今の季節、エアコン無しじゃ眠れませんから。あっ、アルプスが見える!」
さすがに奈緒は大人相手にはソツが無く、さっそくゆきえの伯母の早苗には取り入ってしまったようだ。
電車の中では、『晴れた日には私たちの街からでも富士山が見えるんだから、アルプスが見えたぐらいで顔色変えないでよ』と冷たく言い放っていたのに…
まあその辺りをユリエも敏感に感じるらしく、車中ではツンと横を向いていた。
(奈緒ちゃんとユリちゃん、似た者同士だから反発するのかも…)
そんなゆきえの不安が早くも悪い方に的中してしまって、小心者のゆきえはハラハラするのだった。

車で20分ほど走れば友里恵の家に到着する。
「田んぼの中を延々と走るから、アルプスの山荘にでも連れて行かれるのかと思ったわよ。思った以上に田舎ね」
奈緒がゆきえに耳打ちしたのが聞こえたらしく、ユリエが睨んでいる。
「おお、こわ」
「…奈緒ちゃん」
先が思いやられるゆきえだった。

早苗が、駐車場に車を回しに行ったその時、中学二年になるユリエの弟のジュンが、友達2人を連れて帰って来た。3人ともTシャツは泥だらけで、ジュンは顔や腕に、いくつもの擦り傷を作っていた。
「ジュンちゃん、どうしたの、その傷?」
いつの間にか身長もゆきえを追い越し、大人の体付きに近づいているようだ。ただし、その表情は、まだまだ幼さを残していたが。
「おお、ゆきえちゃん!着いたのか?ちょっと、隣町の番長とタイマン張ってね。もちろん勝ったけど、来週はそのまた隣村の番長と決闘よ。あっ、こいつらオレの舎弟。おい、挨拶しろ!」
「コンチワーッス!」
後ろに控えた二人の中学生が頭を下げた。
「ケンカばっかりして!」
ユリエがジュンを叱っている。
奈緒はゆきえの耳元に顔を寄せ、
「ねえ、ここって平成の日本だよね?昭和40年代の『ハリスの旋風』の時代じゃないよね?」
と、目を丸くしてささやいた。
「ゆきえちゃん、今夜は一緒にお風呂に入ろうな」
ジュンが大人びたことを言えば、仲間の中学生たちが目を丸くしている。
「バカ!入るわけないでしょ!」
「昔は一緒によく入ったじゃないか」
「小学生の時でしょうが!」
中学生にからかわれて真っ赤になるゆきえを、ジュンたち悪ガキがニヤニヤ眺めていた。
「それ、いいじゃない!私も一緒に入りたい。男子中学生とお風呂に入るチャンスなんてなかなか無いからね。ところで、あんたたち、もう毛は生え揃ったのかな?」
いきなり参戦してきた奈緒の品定めするような目に、ジュンたちが一歩引いた。
「だ、だれ?」
「あ、ああ…友達の奈緒ちゃんよ。今年は一緒に来たの」
「そうだ!お風呂の前にド田舎の中坊らしく、田んぼの畦道に並んで、立ちションでもして見せてよ。ゆきえがチンコを見て採点するから。合格した子だけ、一緒にお風呂に入ることを許してあげるってのどう?じゃあゆきえ、採点係を任せたわよ!」
さすがにユリエも唖然としていた。
「ちょっと、奈緒ちゃん!早くうちに入ろうよ」
呆気に取られる3人の中坊を残し、ゆきえは奈緒を引っ張るようにして家に入り、奈緒は中学生たちに悪戯っぽく手を振った。
(つづく)

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2011.12.14 Wed l ゆきえの冒険・高校生編 l コメント (2) l top

コメント

読んでて(^^;;
なんとなく先が思いやられる様な感じですな(-.-;)y-~~~。
しかしまぁ、奈緒ちゃんは大人には凄く媚びるタイプですな。

こーゆータイプは出世しそう。
2011.12.14 Wed l 私の碇で沈みなさいっ!. URL l 編集
私の碇でさんへ^^
奈緒のスゴさは、媚びる相手を即座に見抜く目でしょうか^^;
媚びて得の無い相手は一顧だにしません。
中坊の相手ではありません^^
2011.12.18 Sun l スマイルジャック. URL l 編集

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