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さて、華やかなお祭りのムードに流されて若い男女が妙に浮ついていることに、子どもながらも僕は気付いていました。
いや、若い男女だけではありません。酒に酔った大人たちの会話の中に色恋沙汰に関する噂が上ることはしょっちゅうで、どこそこの奥さんが県外から遊びに来た学生にやられてしまったとか声高に話しているのを聞いてもいました。
そして、本来ならばふしだらでモラルに反するはずのそんな性的解放も、お祭り期間中は大目に見られる雰囲気がありました。いわゆる無礼講ってやつでしょうか?
元々日本のお祭りは(日本だけではないのかもしれませんが)、長く苦しい農繁期を終え、一年間のストレスを一気に吹き飛ばすように賑やかに祭りを楽しんだのでしょう。そして、お祭りではセックスが重要なファクターとなり、場合によっては乱交まがいなことも行われたのかもしれず、はだか祭りの無礼講もその名残なのかもしれません。
もっとも、僕がこんな考えを持つようになったのは、後年大学生になってからのことですが。

このように、祭りの浮ついた雰囲気は疫病のように結婚している奥さんたちにも感染し、独身の若者がお祭りの猥雑なムードと酒の勢いを借りて人妻に迫れば、周りの大人たちも、『お祭りやから、一遍だけさせてやって!』と、一緒になって頭を下げてやったりする。
もちろん、ほとんどの人妻は、やんわりと拒否したようですが、中には困惑しながらも受け入れてしまう人もいるようで、話がまとまって、みんなの前で若者に肩を抱かれながら恥ずかしそうに消えて行くのです。
なぜ僕がそんなことを知っているかと言うと、叔母さんちがお祭りの集会所の一つになっていて、無礼講でカップルになった男女が密かに向かうのが、僕と母が寝泊まりしていたその家の離れだったりするからです。
なにも知らなかった頃の僕が離れの部屋に戻ろうとすると、部屋の中から何やら妖し気な息遣いが聞こえてきたりして、小学生の僕は訳もわからずにおののき、立ち尽くしてしまいました。
中で行われていることが気になりましたが、なにやら本能的にそこに踏み込むべきではないと感じてたりして…
そんなことを二度三度と経験したものの、それでもそれは自分とは遠く離れた大人たちの世界のことだと思っていました。
まさか自分の母親がその当事者になろうとは考えもしなかったですからね。

僕が小学校6年生の夏休み、いつものように母と里帰りして迎えた『はだか祭り』本宮の夜、御神輿の奉納が終わった後、母は叔母さんちの母屋で、多くの訪問客に料理やお酒を出すために忙しく立ち働いていました。
お祭りを無事終えた興奮と安堵感からか、みんな賑やかに食べては飲んでいます。
そんな中、『慎二』と呼ばれる若者が、しきりと母に言い寄っていました。
六尺褌に法被姿の慎二は、御神輿競争の名残を残すように胸には渇いた汗が塩となり、下半身は六尺褌からよく引き締まったお尻を露出させている。
あぐらをかいて豪快にコップ酒を煽っていましたが、今思えば、まだ二十歳に満たない年齢だったかもしれません。
「美和さんはべっぴんやなあ。やっぱり都会の女の人は垢抜けとる」
御神輿レースの興奮と酒の勢いを借りて、歯の浮くようなお世辞を並べていましたが、意外だったのは母がまんざらでもなさそうな反応を見せたことでした。
僕の母は何事にもはっきりものを言うタイプの女性で、父が家に連れて来る職場の同僚や部下の中でも、気に入らないタイプの人には露骨に態度に表します。
「あの人、嫌いだからもう連れて来ないで」
みんなが帰った後、きっぱりと宣告された父は苦笑いするしかない。
そんな母がまんざらでもない態度を取るということは、けっこう慎二のことがお気に入りだったのかもしれません。
(つづく)


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2012.03.26 Mon l はだか祭り l コメント (2) l top

コメント

そうでしたか(^^;;
お母様にもアバンチュールってのがおありだったんですね(笑)。
俺もアバンチュール経験した~い(できたら「つけない」でやりたいデス!)。
2012.03.27 Tue l 私の碇で沈みなさいっ!. URL l 編集
私の碇でさんへ^^
ホントにこんなお祭りがあったら…
困りますよね^^;
大挙人が押し寄せそう!
2012.03.28 Wed l スマイルジャック. URL l 編集

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