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オレは先輩にネクタイを借り、備品部でデジカメと隠し撮り用にカメラを仕込んだライターを用意してもらって、待ち合わせ場所の品川駅に向かった。
それにしても、いかに追い詰められたとはいえ、実の母親をスワッピングパーティーに連れて行くハメになろうとは…
まあ、隅っこで小さくなっていれば、まさかレイプされることもないだろう。
ただでさえ遅れているのに、母ちゃんがなかなか現れない。イライラ…
結局30分遅れで現れた母は、黒のミニスカートに網タイツ。黒に白いピンストライプが入った体にぴったりとフィットしたジャケット。こ、これは…伝説のボディコンスーツ?
ヒールの高い豹柄の靴、首まわりにはジャラジャラとしたゴールドのアクセサリー。よくこんなものがうちにあったな。
『パーティー潜入取材に協力して欲しいからそれなりの装いで来て』と伝えてあったけど、これじゃあバブル全盛時代のディスコだよ。
そういえば、母は青春時代にマハラジャのお立ち台で鳴らしたって自慢してたっけ。そこでナンパされて出来ちゃった結婚。生まれたのはもちろんオレ。
両親ともに当時はイケイケだったみたいだけど、今の父親にその面影は無い。
そう考えると母ちゃんはなかなか捨てたもんじゃない。とても43歳とは思えないからね。もちろん後ろから見ればの話だけど。
それにしてもオレと肩を並べて歩く姿は、人からどんな風に見られているのだろうか?
だいたいこんな突拍子もない頼みにヒョコヒョコ出てくるのは、父ちゃんが単身赴任で暇を持て余しているからに他ならない。
さすがに『スワッピンクパーティー』とは言えなかったけど、潜入取材ってぐらいだから、なんだか怪しいパーティーであることは察しているだろう。
「で、私は何をすればいいの?」
好奇心に目をキラキラさせながら母が言った。
「別に何にもしなくていいよ。部屋の隅で飲んだり食ったりしてればいいから」
「そんなんで2万円も貰えるの?なんてラッキーなんでしょ!こんなバイトがあったら、また呼んでね」
「次は無い!ほら、急いで!遅れてるんだから」

会場となるマンションは、品川駅から歩いて10分ほどの場所にある瀟洒な10階建てだった。エントランスはまるで高級ホテルみたいで早くも圧倒される。
セキュリティは厳しかったけど、インターホンで編集長から聞いた名前を告げると、意外と簡単に自動ドアを開けてくれた。
8階までカーペット敷きの広いエレベーターで上り、お目当ての部屋の前で再びインターホン。防犯カメラに鋭く狙われている気配に緊張したけど、すぐにドアが開けられて中に招き入れられた。
ドアを開けてくれたのはホワイトシャツに黒いチョッキ、蝶ネクタイという執事スタイルの小柄な初老の男で、白髪頭をポニーテールにまとめ、ちょっとリリー・フランキーに似ていると思った。一見穏やかそうだけど妙に目付きに凄みがある。
(堅気じゃないかも…)
暴力団の取材に何度か立ち会った経験から、ヤクザ特有の雰囲気に敏感になっている。最近のヤクザは外見からは区別が付かなかったりするのだ。
その男が(便宜的にフランキーと呼ぶことにする)、招待状をチェックし、もう一度僕の名前を確認し、作り笑顔でここでのルールについて説明を始めた。オリエンテーリングだ。
(つづく)

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2012.07.16 Mon l パーティー潜入 l コメント (4) l top

コメント

しかしまぁ
自分の怪しげな仕事にお母さんを巻き込むとは主人公も無茶しますよねf^^;。
さてさて主人公たちはヤクザ相手にどう切り抜けるかはが楽しみです。
2012.07.16 Mon l 私の碇で沈みなさいっ!. URL l 編集
No title
こんにちわー^^

お母さんも怪しげなパーティに
着飾ってでてくるなんて
まもりが甘いよね^^

そうそう最近のヤクザって
それっぽくないのがほんもの
なんだって・・きいたことあるよ

なんかわくわくしちゃうね^^
(☆。☆)♪
2012.07.16 Mon l 林檎. URL l 編集
私の碇でさんへ^^
まあ、ヤクザってほどの相手でもないんですけどね^^;
でも、怪しい仕事であることはたしか。
お母さん、ピンチか?!
2012.07.19 Thu l スマイルジャック. URL l 編集
林檎さんへ^^
東京のヤクザって、なかなか外見では分からないって言いますよね。
一方、大阪では、堅気もヤクザに見えたりして^^;
2012.07.19 Thu l スマイルジャック. URL l 編集

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