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食事は本格的でとても美味しく、私たちは飲んだり食べたりしながら近況を語り合いました。
柴田君は私でも知っている情報誌の編集長。28歳では異例の出世とのことです。
二人と違って語るほどの人生のエピソードを持たない私は、自然と二人の聞き役に回ることになります。
早くに専業主婦になってしまい、バリバリ働く恵たちが眩しく見えてしまいますが、だからと言って自分がそんな仕事をこなせるとも思えない。分相応という言葉がありますが、のんびり屋の私が恵や柴田君のように時代の最前線で采配を振るうなんて出来っこないのです。
でも、会話の最中にも柴田君がなにくれとなく気を配ってくれるのが嬉しく、決して寂しく感じたりはしなかった。

食事を終え、デザートが済む頃には柴田君も恵も当然のように店を代えて飲み直そうと提案しましたが、私はすでに口当たりの良いイタリアワインに酔ってしまったみたいで自信がありません。
「私、お酒に弱いから…二人で行ってきて」
「そう…じゃあ、もしよかったら、これから二人で僕のマンションに来ないか?」
柴田君が思わぬことを言い出しました。
「参宮橋だからタクシーですぐだし」
私のマンションは狛江だから同じ私鉄沿線。そのことを告げると、
「じゃあ、帰りはタクシーで送るから。朋子さんには美味しいコーヒーを淹れてあげる」
と、高校時代を思い出させる爽やかな笑顔で言いました。
「いいわねえ。朋子、お邪魔しましょうよ」
恵にも言われ、結局、同意させられてしまった私。でも実は、彼の一人暮らしのマンションに興味津々だったりして。

新宿からタクシーで10分ほどで柴田君のマンション。静かな住宅街の3階建てのマンションでしたが、その内装は私たち夫婦が住むマンションとは比較にならないほど高級なものでした。
3人で革張りのソファーに落ち着くと、あらためてワインで乾杯です。お酒に弱い私も一杯ぐらいはお付き合いしないと。
「実は僕、高校時代から朋子さんに憧れていたんだ」
いきなり柴田君が真顔でそんなことを…
「…ウソ」
話を引き継いだのは、なぜか恵でした。
「そうなのよ。この前会った時から柴田君ったら朋子のことばかりなんだから」
…そんなことがあるはずがありません。私だって柴田君にずっと憧れていたのですから、何らかのモーションがあれば気付かないはずがないのです。
(これは二人して私をからかっているのに違いない)
混乱しながらも用心していると、いきなり恵が、
「さて、私はそろそろ、おいとましようかな。実はこれから予定があるのよ」
と言い出したのでビックリです。
「じゃ、じゃあ私も…」
「朋子はいいじゃないの。柴田君ともう少しお話しして行きなよ。じゃあ柴田君、ご馳走さま!」
と告げるや、さっさと帰ってしまったのでした。
結局、玄関まで柴田君と一緒に恵を見送り、そして柴田君に促されて再びリビングに戻ることに。
柴田君と二人きりになって急に落ち着かなくなった私でしたが、仕方なくソファーに掛けると、柴田君はためらいもなく私の横に座りました。
(つづく)

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2012.08.17 Fri l 浮気の効能 l コメント (4) l top

コメント

No title
こんにちわー^^

なんとなく恵と柴田君は
あらかじめ 打ち合わせていた・・
みたいな

二人っきりになるように
しむけられたみたい・・

これからどう展開していくのか
たのしみ~~(-^〇^-)/♪
2012.08.18 Sat l 林檎. URL l 編集
林檎さんへ^^
こんばんは^^
惠と柴田君が打ち合わせていたかどうかは、今のところまだわかりません。
でも、朋子さんにとっては思わぬチャンスになったかも^^;
2012.08.19 Sun l スマイルジャック. URL l 編集
なんだか
恵さんと柴田くんは示しあわせたような感じねぇ(笑)。

さて、いよいよ物語の始まりって感じだね。

でも28歳で編集長とは凄いね(^o^)。
2012.08.19 Sun l 大高忠敬@元私の碇で沈みなさいっ!. URL l 編集
大高忠敬さんへ^^
いよいよタイトルの『浮気の効能』が動き始めたようです。
28歳で編集長は適当に書いたのですが、けっこうスゴイことなんですね?
2012.08.23 Thu l スマイルジャック. URL l 編集

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