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あれは僕たちが高2に上がってすぐ、たしか1学期の中間テスト期間中のことだったと思います。
ゆきえからメールが届いたのは、テスト勉強をしていた午後10時半ごろのこと。この時間のメールは珍しくないのですが、文面を見てビックリしました。
『いま、あなたのうちの前に来ています』
驚いた僕は、すぐに携帯から電話を掛けたのは言うまでもありません。
「会いたいの。おうちの前にいるから…」
なにやら思い詰めたようなゆきえの声でした。
(なにかあったのだろうか?お母さんとケンカしたとか?あっ!もしかして僕とゆきえママが一緒にお風呂に入ったことがバレちゃった?…まさか!)
慌てて1階に駈け降りて玄関に向かったのですが、こんな時に限って母親に見つかったりするもの。
「…どこ行くの?こんな時間に」
「あ、いや、ちょっと友達が来てて…」
「友達って…誰?」
「あ、ゆきえちゃん…塾が終わって帰る途中みたい。なんか連絡したいことがあるって…」
「…」
母は疑わしそうな顔をしていましたが、ゆきえとは何度か顔を合わせていたし、けっこうお気に入りにもなっていたので黙って通してくれました。即興でついた嘘の割りには上出来です。

玄関前には、ゆきえがひっそりと立っていました。
薄手のセーターにミニスカートという軽装。自転車で来たようですが、ゆきえの家からだと自転車でも15分ぐらいはかかります。
「ケンちゃん!」
ゆきえが今にも泣き出しそうな顔で駆け寄って、すがり付きました。
「ど、どうしたの?こんな時間に…」
「だって…会いたかったんだもん!」
自宅前でラブシーンを演じては、いろいろと支障も生じるので、とりあえず僕も車庫の脇から自転車を出してきました。
「さあ、送って行くよ。途中、静かな場所でお話しよう」
「…うん」
僕たちは、並んで自転車を漕ぎ始めました。

自宅からほど近いところに小さな公園があります。大きなマンションに付属したような目立たない公園でしたが、オオシマザクラの巨木が1本あって、開花の時期には近所の人が花見に訪れる隠れた名所だったりします。もっとも、今はすっかり葉桜になって、深夜のことゆえ、人っこ一人見当たりません。
僕たちは自転車を停めると、1本桜の樹の下に移動し、そこであらためて抱き合いました。
「急にやってきたりして、どうしたの?」
ゆきえを抱きながら、優しく聞いてみました。
「だって!私がこんなに会いたいのに、ケンちゃんったら冷たいんだもん!」
ゆきえが、拗ねた幼児のように恨みがましく言いました。どうやらたいした理由はなく、ただナーバスになっていただけのようです。
僕は、ホッとすると同時に、そんなゆきえの姿がなんともいじらしく感じました。僕に会いたい一心で夜道を急いで来たのでしょう。
(つづく)

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2013.04.15 Mon l 想い出エッチ番外編・深夜の公園で l コメント (4) l top

コメント

No title
こんばんわー^^

これから 暖かくなるから
公園も カップルだらけになりますね~(^_^;)


桜の巨木の下で ラブシーンなんて
青春ですね~( ´艸`)
2013.04.15 Mon l 林檎. URL l 編集
いきなり
電話がかかってくるなんてなんだかドキっとしちゃうような話ですねぇ。

でも夜の公園であうなんてなかなかロマンテイックです~。
2013.04.18 Thu l 大高忠敬. URL l 編集
林檎さんへ^^
最近、夜の公園とか行ったこと無いなあ。
用事ありませんからね^^;
やっぱ深夜の公園は青春の一コマですね^^
2013.04.27 Sat l スマイルジャック. URL l 編集
大高忠敬さんへ^^
女子高生の一人歩きは危ないでしょうね。
夜の公園、まだちょっと寒いかも^^;
2013.04.27 Sat l スマイルジャック. URL l 編集

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